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今回は下肢の障害認定基準の中で機能障害(下肢の関節等)における厚生年金保険のみが対象となる障害等級3級と障害手当金の障害等級表をさらに掘り下げた障害の状態について触れたいと思います。
【機能障害(下肢の関節等)による障害等級③】
⒈ 厚生年金保険のみが対象となる障害認定基準は次のとおりです。
● 障害等級3級
❶ 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
⇒ 一下肢の3大関節のうち、いずれか2関節に関して、他動可動域(※1)が健側(※2)の他動
可動域の2分の1以下に制限されたもの。またはこれと同程度の障害を残すもの。
( 例えば、常時固定装具を必要とする程度の動揺関節(※3)となっている状態)
(※1)他動可動域
⇒ 関節を他動的に動かした場合の関節可動域。検査者や機器などによる他動が必要な運動のこ
とで、外力で動かされた場合の可動域のことを指す。
(※2)健側(けんそく)
⇒ 健側とは、半身に麻痺や障害を負っている場合において、障害がない側の身体のこと。
(※3)動揺関節
⇒ 靭帯損傷等により関節の安定性が失われた結果、関節が正常より大きく可動するようになっ
たり、異常な方向に動くようになった状態のこと
❷ 一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
( 例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位(※1)で強直(※2)しているもの)
(※4)不良肢位
⇒ 関節をその位置にしておくと拘縮しやすく、しかも関節がその位置で動きが悪くなると日常
生活上不便になり、機能的に不便宜である肢位のこと。
(※5)強直
⇒ 関節部の骨や軟骨に破壊や変形や炎症によって癒着が起こり、関節が動かなくなったり筋肉
が収縮してこわばった結果として弛緩が困難になったりする状態のこと。
❸ 両下肢に機能障害を残すもの
( 例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)
➍ 両下肢の10趾(左右合計10本の足の指)の用を廃したもの
⇒ 「足趾の用を廃したもの」
㋐ 第1趾(足の親指)は末接骨の2分の1以上、その他の4趾は遠位趾間関節(DIP)以上で欠くもの
㋑ 中足趾節関節(MP)または近位趾節間関節(PIP)(第1趾の場合は趾間関節(IP))に著しい
運動障害(他可動域が健側の他可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すもの
● 障害手当金
「障害手当金」相当の場合で症状が固定されていない場合は「障害等級3級」として取り扱うこと
となっております。
❶ 一下肢の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
⇒ 一下肢の3大関節のうち、いずれか1関節に関して、他動可動域が健側の他動
可動域の3分の2以下に制限されたもの。またはこれと同程度の障害を残すもの。
( 例えば、常時というわけではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節や習慣性脱臼)
❷ 一下肢に機能障害を残すもの
( 例えば、一下肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)
❸ 一下肢の5趾の用を廃したもの
今回は下肢の障害認定基準のうち厚生年金保険のみが該当となる障害等級3級及び障害手当金の認定方法に関して書きました。次回は引き続き「障害認定基準-下肢⑥」として、障害等級に該当しない程度の障害や障害認定に当たっての共通の留意事項について書こうと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました!
【参考文献】
・医療・福祉・年金相談の現場で役立つ!障害年金実務必携 / (株)日本法令 /
令和2年4月1日初版2刷 / 加賀佳子 著
・知りたいことが全部わかる!障害年金の教科書 /
漆原香奈恵・山岸玲子・村山由希子 / (株)ソーテック社 / 2019年12月31日
・日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準「01.pdf (nenkin.go.jp)」
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